研究トピックス

●研究キーワード

   ヒューマンインタフェース,身体的コミュニケーション,アバタインタラクション,ノンバーバルインタフェース,生体情報処理等


●研究紹介 (細かい内容についてはお問い合わせください.)

アバタを介した共有仮想空間に
おける身体的インタラクション
◇VirtualActor&VirtualWave

【概要】CGキャラクタによる自己参照可能なコミュニケーションアバタの開発及び身体的コミュニケーションの合成的解析

【説明】離れた場所にいる対話者は,何らかの手段で情報を伝達します.手紙,電話,チャット…,色々ありますが,お互いの振る舞いを観察できる「アバタ」を介在させることで,より実空間での対話に近い状況を生成することができます.
 一般的にアバタの機能は多様ですが,対話者のノンバーバル(言葉によらない)情報や生体情報を反映した「身体的アバタ(Embodied Avatar)」を実現しています.対話者の身体性が互いの存在を空間内に位置付け,そのコミュニケーション場において共存在感を持つことができます.

コンセプト図


仮想空間そのものや,対話者との関係の制御による合成的解析手法により,コミュニケーションの分析を行うことができます.対話相手のアバタの頭部動作を矛盾的に止めた場合,アバタを提示することが逆にインタラクションを阻害してしまうなど,有用な知見が得られています.このシステムを利用することで,真に人間の立場に立ったインタフェース設計に必要な要因を解明していきます.

 
VirtualActor      &      VirtualWave


▽呼吸を利用したシステム

生体情報のうち,呼吸情報を利用したVirtualActor/VirutalWaveを実現しています.キャラクタの生命感が飛躍的に向上します.

※画像上で分かり易いVirtualWaveの例です.

 
吸って     ->     吐く

◇PuppetAvatar

【概要】手指動作入力による身体的アバタの実現.

【説明】VirtualActorは上半身を忠実に再現するアバタとして構築していますが,対話者が自由に動ける環境ではないこともあります.そのため,制約的なコミュニケーション環境下でも効果的なインタラクションを支援する目的で開発されたシステムです.VirutalActor同様,自己の振る舞いを観察しながら対話を行うことが可能となっています.


簡易入力デバイスとして,トラックボールを用いたシステムも構築しています.ワイヤレスマウス,3次元マウスよりも好まれる傾向にある結果が得られています.



◇3次元トラックボール

【概要】身体的アバタ操作のための3次元トラックボールの開発.

【説明】アバタの頭部動作をより直感的に操作するためのデバイスとして試作したものです.操作対象は一つの球体だけで,頷き(Pitch),疑問(Roll),否定(Yaw)の各回転を操作可能です.ワイヤレスマウス,通常のトラックボール,3次元マウスよりも好まれる結果が得られています.


 
対話者を仮想対面投影した
ビデオコミュニケーション
◇ビデオ映像による仮想対面合成

【概要】自己のビデオ映像を合成し,仮想的に対面場面を生成することで相手とのインタラクションをとらえながら対話を行う.

【説明】下の画面は,同じ実空間で対話をしているように見えますが,実は自己の映像と相手の映像をクロマキー合成したものです.


部屋全体を覗いてみると,↓こうなっています.


自己の斜め後方からのカメラ映像と,相手の斜め前方からの映像を合成することで仮想的に対面場面が生成されているわけです.


◇自己アバタとの対面合成

【概要】自己のアバタと相手映像を合成し,インタラクション支援システムを構築する.

【説明】上のシステムのように,自己の映像を合成すると,人物像同士の大きさのバランスや角度調整,位置関係など細かい設定が要求されます.そこで自己映像を身体的アバタに置き換え,身体的インタラクションを実現しつつ空間を共有している感覚を得ることができるシステムを生成しています.


画面内に自己アバタを配置することで注視点となり,自己アバタを介して相手の振る舞いをしっかり捉えることができます.ビデオコミュニケーションでは常に課題となる視線問題ですが,このシステムは対話相手の視線の先にアバタを配置することでアバタとの視線一致を実現し,この問題を新たな観点から解決する新しい方法論です.もちろん,自己とアバタ機能の関係性(操作性,同一性等)については十分に検討すべきです.


 
身体的インタラクションにおける
生体情報の分析評価
◇父母子間インタラクション

【概要】原初的コミュニケーションとしての乳児と母親(育児者)あるいは父親を含めたインタラクションにおいて,母子間でのリズム同調あるいは引き込み現象に着目し,身体的コミュニケーションを分析しています.

 

言語がまだ未発達の赤ちゃんでも,色々教えてくれます.(ある実験で,顔では笑ってくれたかわいい赤ちゃんから,心拍間隔変動で強烈に緊張しているデータが得られたりすると,実は怖かったのね…ということが分かったり.防衛本能かな?)


◇呼吸の引き込み

【概要】対話者同士の呼吸成分が同調する現象を実際に計測して分析しています.自分の周期的な呼吸リズムを崩して相手の呼吸に合わせていく傾向が分かります.つまり,息が合うというのは本当なんですね〜.


 


●その他,研究関連の話題

◇アバタの意味

辞書的なAvatarの意味については次の通り.元は仏教用語.

▽英英辞典(オンライン)
Oxford Advanced Learner's Dictionary
1 (in Hinduism and Buddhism) a god appearing in a physical form.
2 a picture of a person or an animal which represents a person, on a computer screen, especially in a computer game or chat room.

Merriam-Webster Online Dictionary
1 : the incarnation of a Hindu deity (as Vishnu)
2 a : an incarnation in human form b : an embodiment (as of a concept or philosophy) often in a person
3 : a variant phase or version of a continuing basic entity

身体機能はやはり重視すべき.
原語の解説をしているページ-> wikipedia






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